氏名:日本障害者協議会 代表河端静子
住所:162-0052 東京都新宿区戸山1-22-1
(財)日本障害者リハビリテーション協会内
電話:03-5287-2346
(以下、各部署に送った意見)
○内閣府政策統括官(総合企画調整担当) 障害者施策担当 宛
○船員法
○通訳案内業法
○家畜改良増殖法及び獣医師法
○放射線障害防止法
○火薬取締法
○ 銃刀法
○警備業法
○内閣府政策統括官(総合企画調整担当) 障害者施策担当 宛
障害者に係る欠格条項の見直しについては,障害者施策推進本部の方針に従って行われることになっているが,その趣旨は「真に必要なもの」を除いて原則廃止というものである。しかるに,廃止されたものはほとんどなく,また残されたものも「真に必要」であることが明示されないまま,横並びの改正内容になっているものが多い。初めから欠格条項の存続を前提として検討したとも思われる。
そこで,欠格条項は,障害者の権利を制限し,障害者の社会参加を阻害し,障害者への偏見を助長する重大な問題であるとの認識を,内閣府より各省庁の関係部署に周知徹底するようにお願いしたい。
また次期通常国会に向けて一括改正を予定している法案については,昨年12月18日の説明会だけでなく,今後も内閣府が主導して関係団体との意見交換の場を積極的に設置することを要望したい。
○船員法
日本障害者協議会は,障害をもつ人の当事者団体および関係者団体により構成される全国団体です(現在69団体加盟)。
当会は,以前より政府および関係省庁に対して,障害にかかわる欠格条項の抜本的見直しを求めており,近年では,1998年に総理府障害者施策推進本部宛に,「障害を事由とする欠格条項に関する要望」を提出し,見直しにあたっての当会の意見を表明しております。
さて,今回の船員法の一部改正案につきましては,「精神病者」の船舶乗務の道を開くものと評価しております。ただし「精神の機能に着目し,船内における労働を適正に行うことができるか否か」という判断基準が恣意的に運用されると,結果として現状と変わらなくなることを危惧しております。
そもそも精神障害をもつ人が,船舶乗務が困難になるほどの状態になるのは,急性精神病状態などの特定の状況にある場合のみであり,通常は,精神の機能を理由として不適格になることはありません。
よって,健康証明を行う指定医に対して,不適格となる場合の明確な基準(急性精神病状態にある場合に限定する)を示していただき,かつ指定医の研修等で周知徹底をしていただき,法改正の趣旨が活かされるようにご配慮いただきたくお願いいたします。
○通訳案内業法
日本障害者協議会は,障害をもつ人の当事者団体および関係者団体により構成される全国団体です(現在69団体加盟)。
当会は,以前より政府および関係省庁に対して,障害にかかわる欠格条項の抜本的見直しを求めており,近年では,1998年に総理府障害者施策推進本部宛に,「障害を事由とする欠格条項に関する要望」を提出し,見直しにあたっての当会の意見を表明しております。
さて,今回の通訳案内業法及び地域伝統芸能等を活用した行事の実施による観光及び特定地域商工業の振興に関する法律の一部改正については,なぜ当該欠格条項の存続が必要なのか,いかなる理由で「真に必要」だといえるのかが,全く明示されておりません。昨年12月18日に行われ,当会も参加した説明会においても,その理由は明示されませんでした。
今回の見直しは,障害者施策推進本部の方針に従ったものと思われますが,その趣旨は「真に必要なもの」を除いて原則廃止というものと認識しております。
「真に必要なもの」であることが示されない当該欠格条項は,当然廃止されるべきと考えております。
また実際に,当該欠格条項を廃止しても,試験に合格し,能力があることが示されれば,免許を交付しても何ら社会的に問題がないと考えております。
ぜひ,廃止に向けて再度ご検討くださるようにお願い申し上げます。
○家畜改良増殖法及び獣医師法
日本障害者協議会は,障害をもつ人の当事者団体および関係者団体により構成される全国団体です(現在69団体加盟)。
当会は,以前より政府および関係省庁に対して,障害にかかわる欠格条項の抜本的見直しを求めており,近年では,1998年に総理府障害者施策推進本部宛に,「障害を事由とする欠格条項に関する要望」を提出し,見直しにあたっての当会の意見を表明しております。
さて,今回の家畜改良増殖法及び獣医師法の一部改正については,なぜ当該欠格条項の存続が必要なのか,いかなる理由で「真に必要」だといえるのかが,全く明示されておりません。昨年12月18日に行われ,当会も参加した説明会においても,その理由は明示されませんでした。
今回の見直しは,障害者施策推進本部の方針に従ったものと思われますが,その趣旨は「真に必要なもの」を除いて原則廃止というものと認識しております。
「真に必要なもの」であることが示されない当該欠格条項は,当然廃止されるべきと考えております。
また実際に,当該欠格条項を廃止しても,試験に合格し,能力があることが示されれば,免許を交付しても何ら社会的に問題がないと考えております。
ぜひ,廃止に向けて再度ご検討くださるようにお願い申し上げます。
○放射線障害防止法
日本障害者協議会は,障害をもつ人の当事者団体および関係者団体により構成される全国団体です(現在69団体加盟)。
当会は,以前より政府および関係省庁に対して,障害にかかわる欠格条項の抜本的見直しを求めており,近年では,1998年に総理府障害者施策推進本部宛に,「障害を事由とする欠格条項に関する要望」を提出し,見直しにあたっての当会の意見を表明しております。
さて,今回の放射線障害防止法の見直しにつきましては,障害を特定しない相対欠格への改正であり,一律に排除していた現行法に比べ改善されたと評価しております。ただ文部科学省令で検討される具体的な能力基準が恣意的に運用されると,結果として現状と変わらなくなるのではないかと危惧しております。
そもそも精神障害をもつ人が,業務が困難になるほどの状態になるのは,急性精神病状態などの特定の状況にある場合のみであり,通常は,精神の機能を理由として業務が困難になることはありません。
よって,省令で定められる基準は,急性精神病状態にある場合に限定し,今回の法改正の趣旨が活かされるようにご検討いただきたくお願いいたします。
○火薬取締法
日本障害者協議会は,障害をもつ人の当事者団体および関係者団体により構成される全国団体です(現在69団体加盟)。
当会は,以前より政府および関係省庁に対して,障害にかかわる欠格条項の抜本的見直しを求めており,近年では,1998年に総理府障害者施策推進本部宛に,「障害を事由とする欠格条項に関する要望」を提出し,見直しにあたっての当会の意見を表明しております。
さて,今回の火薬取締法の見直しにつきましては,相対欠格への改正であり,一律に排除していた現行法に比べ改善されたと評価しております。ただ「知的障害者」と「精神病者」を包括する表現に改正するとありますが,欠格の対象を判断するには,安全の確保に必要な能力であり,能力に着目し,障害を特定しない内容とするようにご検討いただきたいと思います。
なお,精神障害者につきましては,取扱いが困難になるほどの状態になるのは,急性精神病状態などの特定の状況にある場合のみであり,通常は,精神の機能を理由として安全な取扱いが困難になることはありません。
よって,具体的な基準を策定される場合には,急性精神病状態にある場合に限定し,必要以上の障害者の権利制限をしないようにご検討いただきたくお願いいたします。
○ 銃刀法
日本障害者協議会は,障害をもつ人の当事者団体および関係者団体により構成される全国団体です(現在69団体加盟)。
当会は,以前より政府および関係省庁に対して,障害にかかわる欠格条項の抜本的見直しを求めており,近年では,1998年に総理府障害者施策推進本部宛に,「障害を事由とする欠格条項に関する要望」を提出し,また,昨年11月5日に警察庁からのヒアリングの際にも,見直しにあたっての当会の意見を表明しております。
さて今回の「銃砲刀剣類所持等取締法」の一部改正案の内容は,当会の主張が反映されておらず,誠に残念に思っております。そこで改めて当会としての意見を表明いたします。
第一に,今回の改正は,現行法同様,病名を欠格の基準としており,精神疾患患者を一律に排除することになり,「精神保健福祉法」の理念とも矛盾していることから,改正内容の再検討をお願いします。
現行の「銃砲刀剣類所持等取締法」における欠格条項の規定理由は「精神病者,心神耗弱者のように健全な精神状態を完全に欠いている者や,これを欠いている者に銃砲刀剣類を所持させることの危険性を排除するため」と述べており,古い精神病者観に基づいた規定と考えます。現在の学会等の理解では,精神疾患をもつ者であっても,健全な精神状態を併せ持っているとしていますが,今回の改正は,これまでの古い精神病者観から抜け出せていないと考えます。このように一律に精神疾患患者を排除する規定は,精神疾患をもつ人の社会参加を阻害するだけでなく,精神疾患患者を危険視する誤解と偏見を拡大させるものと言わざるを得ません。現行の「精神保健福祉法」は昭和62年の改正で,精神障害者の理解と協力を義務づけており(3条),同法の理念と相反する規定と考えます。よって,病名を欠格の基準としない改正内容にしていただきたく,再検討をお願いします。
第二に,再検討する際には,銃刀法の安全な管理能力に着目した欠格内容としていただきたくお願いいたします。
確かに銃砲刀剣類は,国民が一般的に所持するものではなく,その所持にあたって規制を行うことは合理的であり,必要なことと考えます。そして,自己や他人に危害を加える恐れが高い者に許可を与えないということも理解できます。しかし危害を加える恐れが高い者=「精神疾患患者」とは言えないことは,上述の通りです。自由民主党政務調査会「心神喪失者等の触法及び精神医療に関するプロジェクトチーム報告(案)」(座長熊代昭彦・平成13年10月30日)でも,「精神障害者は、我々の社会の大切な構成員である。精神障害者の犯罪率は、社会全体の犯罪率に比ベ、かなり高いのではないかと一般に漠然と考えられているが、その認識は正確な資科によって改められる必要がある。」と冒頭で基本認識を述べています。
よって「精神疾患患者」であろうがなかろうが,安全な管理ができない者を欠格とすることには賛成いたしますが,「精神疾患患者」を一律に対象とした今回の改正案は,合理性を欠いており,銃刀法の安全な管理能力に着目した欠格内容としていただきたく,ご検討のほどお願いいたします。
○警備業法
日本障害者協議会は,障害をもつ人の当事者団体および関係者団体により構成される全国団体です(現在69団体加盟)。
当会は,以前より政府および関係省庁に対して,障害にかかわる欠格条項の抜本的見直しを求めており,近年では,1998年に総理府障害者施策推進本部宛に,「障害を事由とする欠格条項に関する要望」を提出し,また,昨年11月5日に警察庁からのヒアリングの際にも,見直しにあたっての当会の意見を表明しております。
さて今回の「銃砲刀剣類所持等取締法」の一部改正案の内容は,当会の主張が反映されておらず,誠に残念に思っております。そこで改めて当会としての意見を表明いたします。
第一に,欠格事由の規定理由が合理性を欠き,「精神保健福祉法」の理念とも矛盾すること。
警備業法では,昭和57年の改正で,欠格事由が追加され,「精神病者」等が追加されました。なおその規定理由は「精神病者は一般的に判断力、自制力に欠けるところがあり、さらには、他人の生命、身体及び財産を侵害するおそれもあり、適正な警備業務の管理運営、実施を期待し得ないと認められるため」(1998年総理府調べ)でした。しかしこの規定理由は,古い精神病者観に基づいたものと考えます。現在の学会等の理解では,精神病者であっても,健全な精神状態を併せ持っているとしています。しかし今回の改正において欠格条項を必要とする理由に同様の趣旨が記されており,これまでの古い精神病者観から抜け出せていないと考えます。こうした精神病者観にもとづく今回の改正は,精神障害をもつ人の社会参加を阻害するだけでなく,精神病者に対する国民の誤解と偏見を拡大再生産するものと言わざるを得ません。
現行の「精神保健福祉法」は昭和62年の改正で,精神障害者の理解と協力を義務づけており(3条),同法の理念と相反する規定が警備業法に残されることに遺憾の意を表明します。
第二に,欠格条項を廃止しても,国民の警備業に対する信頼性を揺るがさないと考えられ,廃止すべきであること。
警備業は,民間で行われるものであり,いかなるものが警備業を営み,警備員として採用されるかは,基本的に民間の裁量に任されるところと考えます。無論,事業の性格上,最低限の規制は必要と考えますが,本欠格条項を廃止しても,警備員として「障害があっても十分な業務遂行能力」を有するか否かの判断は事業主が行えばよいことです。本欠格条項の有無によって国民の警備業に対する信頼性が揺るぐとは考えられません。よって,本欠格条項が廃止されることを強く要望いたします。
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