平成11年7月5日


                      (財)全国精神障害者家族会連合会
                                理事長 古屋治男

欠格条項の見直しに関する要望書

法令に規定されている障害を理由とする「欠格条項」は、精碑障害者の自立とノ ーマライセーション推進の大さな障壁となっておりますので、徹廃してください
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 精神障害者の医療・社会復帰・福祉施策の推進にご尽力をいただき、心から感謝申し上げます。
 精神障害者福祉対策については、昭和62年の法改正以来3回の法改正、障害者基本法制定による他障害者との同等の位置づけの実現等、極めて遅れている話策を改善すべき努力がなされております。当会としても障害者の自己決定と自立の努力の尊重を重視した実践活動と運動を展開しております。
 さてこのたび、障害を理由とする欠格条項の見直し作業が、総理府障害者施策担当室と 中央障害者施策推進協議会で行われております。
 障害者の自立とノーマライゼーション堆進の大きな障壁である「欠格条項」については、 平成5年の障害者対策本部の決定による「障害者こ関する新長期計画」で障害者が社会活動に参加することを不当に阻む要因にならないよう見直しを行い適当な措置をとるとされ、 特に精神障害者については、障害者プランにおいても「各種資格制限等における精神障害者の欠格条項の見直しを推進する」と特記されています。
 見直し作業や諸作業に鋭意努力されている担当室や関係者に心から敬意を表するもので あります。
 精神障害を理由とする欠格条項は、精神障害者は何をするかわからない、事故を起こす可能性が高いといった予断に基づき、各種資格・免許からの排除を規定しており、精神障害者の社会参加や就労活動に大きな障壁となっております。こうした欠格条項の存在は、 「精神障害者は能力がなく、責任を持った行動を取れない、危険な存在だという偏見を 国民に植え付けるものでしかなく、「偏見差別の助長政策」といっても過言でありません。
 また、精神障害者といっても、その症状や状態・能力はさまざまであり、一律に「精神障害者」として規定することは、きわめて差別的であるといわざるを得ません。
 欠格条項は、その多<が障害者の利益を守るためではなく、社会の利益を守るために規定されており、障害者基本法の理念からも著しく逸脱して、障害者の自立とノーマライゼ ーション推進の大きな障壁となっております。
 つきましては、障害を理由とする「欠格条項」の基本的全廃の方針をご提示いただき、 その上で、どうしても撤廃できない場合に限ってのみ要件を緩和するという原則を確立していただきたく存じます。
 以下は、本会の欠格条項の見直しに対する基本的な見解であります。本会の意図をご賢察いただき、欠格条項の見直しについて抜本的な改善を是非ともお願いいたします。


                       


1. 基本的な考え方:すべての欠格条項について不必要であり、廃止すべきことを一般原則 として確認すること【根本原則】


2. 上記の一般原則を前提とした上で、何らかの制限が必要であると考えられる職種についても当該職に就業させた後において、その職務に耐えない事実が判明した時点で、その職を失わせるという事後的な制限で対処することを基本原則とすること(ex.重大な道交法違反の時の免許の停止・取消をするのと同様)【基本原則1】


3. 上記の事後的制限により方法では、対処しきれないと想定されるためには、一定の障害を持つ者に就業させると職務上の支障が頻発し、か⊃、その支障が事後的な対処方法では回復できないはど重大なものになる場合に限って、事前の資格制限(相対的欠格)が認められるものとすること【基本原則2】


4. 相対的欠格とする場合も、各人の障害の内容・程度と職務上発生するであろう支障との具体的因果関係が明確に認められない限り欠格事由とはしないこと【基本原則3】


5. 「精神障害者」という大括りの概念で資格を制限すべきでな<、具体的な機能障害・能力障害と当該職務遂行における支障との関係を明確化すること。


6. それぞれの法規における対象規定について、学問的に正確な理に適った明確な定義をすべきである。手続きの煩雑さを避けるための合理化のために、安易に漠然とした精神 障害者・精神病者の概念を用いることには、絶対反対である。


7. 「障害者に関わる欠格条項の見直し作業」は、現在、総理府障害者施策担当室と障害者基本法による中央障害者施策推進協議会で鋭意検討されており、近々、同推進本部から見直しの基本方針が各省庁に提示されるとのことである。
 本改正の理念を実現するためには、先生方の政治主導の改正作業が是非必要である。


 貴職をはじめ精社懇の諸先生のご理解と積極的対応をお願いしたい。


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