2001年2月5日
全国精神障害者団体連合会
道路交通法改正試案に対する見解
警察庁が昨年12月27日に発表した道路交通法改正試案に対して、以下の見解を示し、撤回されることを要望致します。
警察庁は試案の中で、「運転免許試験に合格した者がてんかん、精神分裂病等にかかっている場合には、道路交通の安全の観点から、政令の基準に従い、原則として免許を拒否することとします」と表明しています。
私たちの団体の正会員の大多数が精神分裂病および精神分裂病圏の病を抱えています。私たちはこの試案をめぐって、話し合いました。以下のような意見がでました。
(1)治療を受け、服薬して健康管理をしていれば、具合の悪い時は自分にも周囲にもわかり、自ら運転するようなことはない。
(2)実際には、多くの者たちが運転免許を取っている。なぜなら、それは交通の便利の悪い地域では生活していく上で必要なことであるから。
(3)もし、病の性質上、波があるから危険であるというのなら、発作がおきる病気は血圧の病気や心臓の発作でもありえる。しかし、その病気
を持つ患者さんたちも治療を受け、発作時の対応を学んでおられるし、必要な薬もいつも所持しておられる。精神分裂病やてんかんも同じな
のに、なぜ私たちだけが差別されるのだろうか。
(4)警察庁の方々は精神分裂病やてんかんについて誰から多くを学んだのだろうか。すくなくとも私たちは一度もヒアリングにすらよばれてい
ない。
(5)欠格条項の見直しに関しては、なくしていく方向性が総理府から発表されているのに、これでは著しい後退ではないか。
(6)こうして後退した根拠をきちんと明らかに教えてほしい。
(7)合理的な根拠もないまま、運転免許を拒否されるのは、私たちの生活権をおびやかすものであり、憲法に違反している。
(8)合理的な理由がないまま、運転免許を拒否するのは、「差別」にほかなく、厳しく抗議したい。
精神分裂病は近年の医学の進歩にともない、極めて生理学的な病であり、体内にドーパミンが増え、高次に神経細胞が反応するのであり、ストレスを軽減し、服薬し、適切な相談者があれば、社会生活を維持できるようになってきております。極めて残念な事故が報道されることもあることは事実ですが、その事故が起きる背景には、安心してかかれる医療機関がなかったこと、「欠格条項」をはじめとする構造的な差別があり、病をかくさなくてはならなかったということは容易に想像できます。
どうぞ、私たち精神障害者本人、家族、精神医療・保健・福祉の専門家と何度も意見交換の場を持って下さいますようお願い申し上げます。
そして、一方的に私たちから運転免許を奪うという今回の試案を白紙にかえして下さい。
ご検討下さいますようお願い申し上げます。
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